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CS指標の落とし穴


顧客満足度の向上を目指すことは、多くの企業にとって、重視されておりますが、
向上を図るものさしを間違えると、自己満足(自社満足)に終わることがあります。

顧客満足に関して、お客様とお話していると、
「CS指標の活用」がテーマとして出てくることがあります。

CS指標を導入して、数値管理しているので、
「いかにその数値を改善するか」について、
社内で熱心に取り組んでいるというお話を聞きます。

それ自体は、素晴らしいことなのですが、どのような指標を活用しているかが
重要になります。

例えば、クレーム件数。
クレーム件数の増減を、CS指標に用いた場合は、件数が増加する場合は、
問題が起こっていることを発見・認識することに役立ちます。

一方、件数が減少した場合は、
問題のいくつかについて、改善できた可能性を認識することに役立ちます。

しかし、よく陥ってしまう誤解は、クレーム件数の減少、すなわち不満足要因の
低減によって、顧客満足度が向上したと判断してしまうことです。

例えば、レストランに入って、スタッフのサービスに不満を感じたとします。
次回、訪れたときにそのサービスが改善されたからといって、
今後も継続的に訪れようとなるかというと、決してそう簡単ではないでしょう。

少なくとも、一時的ではなく、継続的な質の高いサービスが求められます。
更に言うと、「他社と比較したときに、サービスや品質が極めて高い」と顧客に
判断してもらえなければ、満足してもらえません。

サービスが改善したという事実と、顧客が満足することは、
常にイコールではありません。

人が満足するということは、その人の期待値に対して、
同等かそれ以上のときに起こります。

従って、顧客の期待値がどの程度であるかによって、
同じサービス水準でも、満足する顧客とそうでない顧客が出てきます。

もちろん、ある程度の予測は可能です。

例えば、ファミレスに入って、テーブルまで丁寧に案内してもらうことは、
ほとんどありません。「お好きなお席にどうぞ」と言われます。
入り口で、人数や喫煙の有無を確認するにも関わらず・・・

でも、多くの顧客はそれが標準的なファミレスであることを知っていますから、
丁寧に案内してもらうことを期待している人は少ないでしょう。

だからこそ、ファミレスで店員さんから丁寧な接客を受けるようなことがあると、
「このファミレスは、ちょっと違うぞ。いいな。」と感じることでしょう。
期待値以上となり、満足が生まれやすくなります。

ただし、顧客が期待する内容は、すべて同じではありません。
ということは、理想を追求するならば、顧客ごとのCS指標が
存在するほうが良いことになります。

ところが、それを追求することは、非効率への道を歩むことになります。
すなわち、生産性が落ちます。
一方で、そうした取り組みの割には、売上や利益に反映されないこともあります。

すると、CSを追求すればするほど、儲からなくなる場合も出てくるわけです。

そう考えますと、最初は最大公約数的なCS指標を掲げざるを得ないのですが、
状況に応じて、CS指標の内容自体を検討し直すことが重要になります。

一生懸命に議論して決めたCS指標に拘りすぎると、
成果が出ないのに、現場が疲弊するということになりかねません。

また、CS指標と業績だけを関連付けるのではなく、長期的な企業存続を目的として、
CSを捉え直すと、顧客に対して、本当に必要なサービスや品質は何であるか
という議論の内容が変わってきます。


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